偽造マヌカ取引撲滅の一環として、NZ政府は2018年、モノフローラル・マヌカとマルチフローラル・マヌカの科学的な定義を採用しました。
NZで製造され、「マヌカ」と表示された小売用のはちみつは、輸出前に
NZ第一次産業省(MPI)に認可された研究施設で検査を受け、そのはちみつが
同省の採用する定義に適うことを確認しなくてはなりません。
MPIの定義では、マヌカの5つの属性(うち4つは花みつの成分、1つがマヌカ花粉のDNAマーカー)を取り上げています。この結果NZのはちみつ製造者及びパッキング業者は、マヌカはちみつをそれ以外のはちみつと区別すること、そしてモノフローラルかマルチフローラルかを同定し、それを表示することが可能になりました。
モノフローラル・マヌカはちみつの検査では、以下の検査1及び2において5つの属性(4種類の化学物質およびDNAマーカー)を調べる。
検査1:化学検査
この検査では3-フェニル乳酸、2’-メトキシアセトフェノン、2-メトキシ安息香酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸の4つの化学物質がすべて存在することを確かめる。それぞれの化学物質に求められる含有量は以下の通りである。
(1) 3-フェニル乳酸:1キログラムあたり400mg以上
(2) 2’-メトキシアセトフェノン:1キログラムあたり5mg以上
(3) 2-メトキシ安息香酸:1キログラムあたり1mg以上
(4) 4-ヒドロキシフェニル乳酸:1キログラムあたり1mg以上
検査2:DNA検査
マヌカ花粉のDNAレベルは、Cq値(註)が36未満であること。これはおよそ1マイクロリットルあたり3フェクトグラムの値である。Cq値が低いほどDNA濃度が高い。
マルチフローラル・マヌカはちみつの検査では、以下の検査1及び2において5つの属性(4種類の化学物質およびDNAマーカー)を調べる。
検査1:化学検査
この検査では3-フェニル乳酸、2’-メトキシアセトフェノン、2-メトキシ安息香酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸の4つの化学物質がすべて存在することを確かめる。それぞれの化学物質に求められる含有量は以下の通りである。
(1) 3-フェニル乳酸:1キログラムあたり 20mg/kg以上 400mg未満
(2) 2’-メトキシアセトフェノン:1キロあたり1mg以上
(3) 2-メトキシ安息香酸:1キログラムあたり1mg以上
(4) 4-ヒドロキシフェニル乳酸:1キログラムあたり1mg以上
検査2:DNA検査
マヌカ花粉のDNAレベルは、Cq値が36未満であること。これはおよそ1マイクロリットルあたり3フェクトグラムの値である。
出典
1.NZの第一次産業省のウェッブサイト
https://www.mpi.govt.nz/growing-and-harvesting/honey-and-bees/manuka-honey/
2."Using chemical and DNA marker analysis to authenticate a high-value food, manuka honey".
McDonald, C. M., et al. npj Science of Food (2018).
註
Cq値 増幅曲線(リアルタイムPCR [polymerase chain reaction。DNA鎖の熱変性、プライマーのアニーリング、ポリメラーゼによる相補鎖の合成を繰り返し行うこと]によりDNAを増幅する方法において、PCR増幅の過程を蛍光物質を用いてモニタリングし、横軸にサイクル数、縦軸に蛍光強度を取ってグラフ化した曲線)と閾値(Threshold)が交差するサイクル数。Ct値とも。
http://www.takara-bio.co.jp/kensa/pdfs/kensa_40.pdf
Manuka honey science definition | updated 2022.7.13