はちみつに含まれる成分(特に水分とナトリウム)には本来相当なばらつきがあります。ところが、はちみつ製品のラベルに記載された栄養組成には、実質的な相違がありません。蜜源とする花、生産地域、はちみつ処理法が異なっているにもかかわらず。
これは、ラベルに表示される成分が、食品や健康を司る行政機関(食糧庁など)が提供する、食品についての一般化されたデータに基づいているからです。
これらの行政機関は食品加工業者に対し、製品に含まれる成分を開示するよう求めていますが、成分を測定するために製品を分析することまでは求めていません。
それどころか行政機関が、食品に含まれる一般的な成分を、インターネット上のデータベースや、ウェブサイトからダウンロード可能なファイルという形で公開しているのです。
弊社がNZ・オーストラリア・英国・合衆国の食品成分データベース管理者に問い合わせたところ、成分分析に用いたはちみつの種類、生産地域、また分析がいつ行われたかについては、どの管理者も明確に答えられないことが判明しました。
日本の食品成分データベースを管理しているのは文部科学省です。このデータベースでは、はちみつは独立したカテゴリーではなく「砂糖、甘味料その他」に分類されています。
ただし少数ながら、食品ラボで自社製品の詳細な分析を行っている製造者もあります。こうした製造者が製品ラベルに記載する成分データは、ラボによる分析結果に基づいています。
JCI / ピュアハニーダイレクトは、このような数少ない生産者のグループの一員となることにしました。その手始めとして、タヒ・エステート製品の分析結果の詳細を、このウェブサイト上の商品紹介ページに掲載いたしました。
注解
(1)日本のデータは、文部科学省のウェブサイトにある食品成分データベース記載のものです http://fooddb.mext.go.jp/。このデータベースでは、はちみつは砂糖・甘味料その他というカテゴリーに分類されています。また水分含有量は、はちみつ100グラムあたり20グラム以下とされていますが、これは、水分含有量を22グラムまたは23グラムとするというはちみつ業界の基準(日本養蜂協会、全国はちみつ公正取引協議会。後述)とは異なります。
(2)合衆国のデータは、合衆国農務省のデータベース(コード19296)のものです。
United States Department of Agriculture, Agricultural Research Service, National Nutrient Database for Standard Reference, Release 26.
https://ndb.nal.usda.gov/ndb/
(3)英国のデータは、McCance and Widdowson's composition of foods integrated
dataset
(マケイン・ウィドウソンによる食品成分統合データセット)のものです。17-050というコードがはちみつです。ここでは「各種はちみつ8種類のサンプル」の分析に基づくとしています。以下のURLから、エクセル形式でダウンロードできます。https://www.gov.uk/government/publications/composition-of-foods-integrated-dataset-cofid。
(4)イタリアのデータは、[Food Composition Database for Studies in Italy (Banca Dati di Composizione degli Alimenti per Studi Epidemiologici
in Italia— BDA)]
(イタリアにおける疫学調査のための組成データベース)によるものです。http://www.bda-ieo.i t/wordpress/en/?page_id=23。
(5)NZのデータはConcise New Zealand Food Composition Tables,
11th edition,
2014(2014年発行のNZ簡易食品成分表第11版)のものです。この食品成分表は、食物・植物研究機関およびNZ保健省が管理しています。以下のURLからエクセル形式でダウンロードできます(はちみつは1995行にあります)http://www.foodcomposition.co.nz/concise-tables。
(6)オーストラリアのデータは、Food Nutrient Database(食品栄養成分データベース)のものです。このデータベースを管理するのは、オーストラリア・NZ食品の基準を定めている公的機関 (FSANZ)です。このデータベース中食品ID12A10047がはちみつです。以下のURLから、エクセル形式でデータをダウンロードできます。http://www.foodstandards.gov.au/industry/npc/Pages/NPC-database-files-2011.aspx。
(7)国際食品規格委員会CODEX では、STAN 12-19811をはちみつの規格としています。この規格によれば、はちみつに含まれる水分量は、はちみつ重量の20パーセントを超えないこととされています。
文部科学省の食品データベースでもCODEX同様、はちみつの水分量は20パーセント以下としていますが、これは誤解を生んでいるようです。日本養蜂協会は「水分は国際規格では20%、公正競争規格では20%、日蜂協では、22%と定めています」としています(注1)。
この日本養蜂協会の見解もまた誤解を生じさせていると、私どもでは考えております。全国はちみつ公正取引協議会では、「はちみつ類の表示に関する公正競争価格」別表に、はちみつの組成基準として、水分は温度20度で「20パーセント以下、ただし第四条第一項第二号に規定する国産はちみつにあっては23パーセント以下とする」と記載しています(注2)。そして中国におけるはちみつの規格も、水分量は23パーセント以下と定められています(注3)。
(注1) 社団法人、日本養蜂協会、はちみつの規格
http://www.beekeeping.or.jp/products/standard
(注2) はちみつ類の表示に関する公正競争規格
https://honeykoutori.or.jp/rule/
(注3) 「中华人民共和国国家标准、食品安全国家标准、蜂蜜」
「中国国家標準の人民共和国、国家食品安全規格、蜂蜜」
「National Standards of Peoples Republic of China 、GB14963」
Nutritional values | updated 2022.7.15