ミツバチヘギイタダニはもともと、トウヨウミツバチ(Apis cerana)の寄生虫で、1900年代初頭にセイヨウミツバチ(Apis melifera)への感染が始まったと考えられています。このダニの英名はvarroa destructor (「壊滅的な打撃を与えるダニ」の意)で、吸血鬼に喩えられます。大半の寄生虫とは異なり、このダニは宿主を死滅させてしまいます。
このダニは成虫に寄生し、巣房内のみつばちの幼虫や蛹に産卵します。つまり、みつばちの巣内で繁殖できるのです。セイヨウミツバチは、この寄生虫に立ち向かう術が全くありません。生き残るための唯一の希望は、人間が介入することなのです。
ミツバチヘギイタダニは、はちみつ生産国のほぼ全域に広がっています。NZでこのダニの存在が初めて確認されたのは、2000年6月のことでした。2022年6月末には、それまで唯一、この恐ろしいダニに汚染されていなかったオーストラリアでも、存在が確認されました。
ミツバチヘギイタダニ(このダニに使われる薬品ではなく、ダニそのもの)と、ネオニコチノイド系農薬が、セイヨウミツバチにとって最大の脅威となる、蜂群崩壊症候群の原因だと考えられています。
典
(1)Varroa mites (Varroa destructor). (Fact Sheet 50050-2021-Varroa-mites) Biosecurity New Zealand, Ministry for Primary Industries. https://www.mpi.govt.nz
ニュージーランド第一次産業省(2022)「ミツバチヘギイタダニ(仮題)」. NZ第一次産業省ウェブサイト、バイオセキュリティ概況報告書(邦訳なし).
https://www.mpi.govt.nz/dmsdocument/50050/direct / 2022年7月3日閲覧
(2) "The Plight of the Humble Bee". New Zealand Geographic. Nov.-Dec. 2003.
https://www.nzgeo.com/stories/plight-of-the-humble-bee/
アダム・フリッカー(2003)「慎ましきみつばち達の窮状(仮題)」『ニュージーランド・ジオグラフィック』2003年11-12月号. コウファイ・メディア(邦訳なし)
https://www.nzgeo.com/stories/plight-of-the-humble-bee/ 2022年7月3日閲覧
Varroa destructor, the vampire mite | updated 2022.11.20